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K.T.C.C

映画とか洋ゲーの冒険記です。大体端書。

オール・ユー・ニード・イズ・キル ALL YOU NEED IS KILL ネタバレ感想

80点
日比谷のワーナー・ブラザーズ試写室、最前列中央やや右で観賞。ここの試写室は初めてで、どうせスクリーンも超ちっちゃいんだろうと思い前に座ってみたら意外と大きかったので四列目くらいがベストじゃないでしょうか。ウーファーの振動が風となり顔面直撃、かなり涼しかったです。2Dだと思ってたのでメガネがキツかったです。首はそこまで痛くならなかった。


本編ですが、どう書いてもネタバレとなってしまいそうなのでネタバレ無い感想から。


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トム・クルーズで宇宙人系というと真っ先に宇宙戦争思い出しますが、そんときのトム・クルーズと全く見分けがつかないほど若い。とにかく若い。それも郷ひろみのような若さではなく、驚くほど自然な若さ。今回は結構ヘタレ役なのですが、「何やってんだコイツ」とあのトム・クルーズに突っ込めてしまうくらい若く感じました。俳優って凄いですね。




で、内容ですが『トータル・リコール』並みの原作からのトランスフォームっぷりにかなり衝撃を受けます。あ、ちなみに『追憶売ります』から『トータル・リコール』ではなく『旧トータル・リコール』から『新トータル・リコール』の変容っぷりに近い衝撃です。でも話はどちらかと言うと淡白な原作に比べ非常にアツいものになっており、僕は映画の方のラストのほうが好きですね。ここは原作読んでる人だと意見分かれると思います。

かなり原作と違うというか、全く違うと言ってもいいかもしれないのですが、そこの違いは間違いなく楽しめる違いなので原作好きな人は期待して見に行けると思います。ちなみに笑えるシーンも多く、グロとかも殆ど無いので爆笑してる人がかなりいました。コメディーというか笑う場面は原作よりはるかに多く取られていて、SF戦闘モノとしても多いほうだと思います。


映像の方は圧巻の一言。モッサリモッサリ動くジャケット(パワードスーツ)がたまらんです。その軍団が敵と乱戦するシーンも”ループ”するのですが全然飽きません。ヘリなどの乗り物含めとにかく物量感が半端ないので、『スターシップ・トゥルーパーズ』とか好きな人は見て損はないです。あと地味ですがメカニックのモデリングがなかなかカッコよく、実写ならではの細かい描写は見事です。人によってジャケットの種類が結構違うのも面白かったです。
あと英語のwikiに書いてあったんですけど、パワードスーツにDARPAが協力してるとか…
















※ここからネタバレ※















ざっくりとまるっとあらすじ


突如地球外生命体が地球への侵略を開始し、人類はヨーロッパの殆どを失いイギリスへ最終ラインを下げていた。そしてイギリスで大規模反攻作戦(オペレーション・ダウンフォール)を行おうと各国の兵士が集められていた。一方もと広告代理店で働いていたアメリカ軍の広報官であるケイジ少佐はロンドンに向かい、統合軍の将軍に呼び出されていた。将軍に明日の作戦への参加を命令されるが、血が大嫌いなケイジはこれを頑なに拒否、すると将軍の命でいきなり憲兵に逮捕されてしまう。

次の瞬間、ケイジは手錠を付けられ階級章を外された状態で作戦準備が行われているヒースロー空港で目覚める。フェレウ軍曹に促されるままテントへ向かうと、なんと自分が脱走兵扱いで2等兵として明日の戦闘に参加しなければならないということが判明する。必死に自分の立場を説明するも、誰も相手にしてくれない。銃のセーフティーすら外せない全くの戦闘初心者にもかかわらず、荒くれ者揃いのJ小隊でジャケット歩兵としてフランス上陸作戦に参加させられることになったケイジ。一方その頃、イギリス軍兵舎では金髪の女性兵士、戦場のビッチことリタが出撃準備をしていた。

全くわけがわからないままで翌日飛行機に乗り込み上空で出撃を待っていると突如機が爆発、爆散する機体から何とか降下する。地獄絵図の浜では味方が次々と撃墜され、為す術もなく敵に蹂躙されていた。ケイジは安全装置が外せないのであたりを彷徨くことしか出来ない。そうこうしているうちに味方は次々と倒れていった。ふと近くに鬼神の如き強さで敵を蹴散らすリタがケイジの近くに現れるも、あっさりと敵にふっとばされ死んでしまう。絶望するケイジ。しかし敵に囲まれつつも、敵に反撃するチャンスを得たケイジは、明らかに他とは違う青いギタイに至近距離攻撃するも、敵の体液をモロに被って顔が溶けて同士討ちしてしまう。

次の瞬間、絶叫しつつもケイジは再び空港で目覚める。全く訳がわからないまま先日と全く同じ光景を目にし、周りのセリフが全て同じであることに気づく。そしてそのまま戦場に突入し、時間がループしているのではないかと考える。そして死。繰り返される死のなか、ケイジは再びリタと出会い、全てのタイミングを知っていたので彼女を助ける。リタはケイジがループしていることに気付き、目覚めたら自分を探すように伝え死ぬ。そして再び死に、ケイジは訓練中にわざと暴言を吐き小隊から抜け出そうとするも死んでしまう。少しずつ少しずつ、死ぬ度に知識を得ていくケイジはようやく<前支え>をしているリタの元へ辿り着き、ループしていることを伝える。リタは驚いた様子でケイジを連れ出し自分もかつてループしていたことを伝える。ヴェルダンの戦いで数百体の敵を撃破していたリタはループしていたのだ。しかしループしていることを周囲にばらすと精神病院送りか解剖されてしまう。とケイジに忠告する。そしてケイジを連れてリタはループ現象を唯一理解している男にケイジを合わせる。ケイジがループするようになったのは、青いギタイの返り血を浴びて敵とリンクしたからだ、と伝えられる。そして彼は敵は時間を操ることが出来て、”アルファ”と”オメガ”という種類を倒さなければ人類は確実に負けると伝える。リタが活躍した、人類初の大勝利も敵に仕組まれたものだったという。

全てを理解したケイジは繰り返される死で、リタの協力の下自らを強くしていく。怪我するとリタに殺され、強制ループされつつも徐々に強くなっていくケイジ。リタがループしなくなったのは、負傷して大量の輸血を受けパワーを失ったからだという。次第に上陸作戦での生存時間も長くなり、ケイジも非常に強力な兵士と変貌していく。しかし、ある地点でどうしてもリタが死亡する現象を越える事ができず、ケイジはとうとう脱走してロンドンにバイクで疾走する。しかし、今度はロンドンがギタイに襲われケイジは死んでしまう。その直後、ケイジはついにオメガの場所を幻視する。そのことをリタとマッドサイエンティストに伝え、その場所がドイツであることを突き止める。勝つことの出来ない戦場から脱出して、ドイツへ向かおうとするリタとケイジ。車で何とか浜の戦場から脱出し、ドイツを目指す。しかし途中でガス欠してしまい、民家に移動手段を求めて入る。すると幸運にもヘリを発見するリタ。しかしリタのダメージが大きいため、休息を提案するケイジ。どこか様子がおかしいケイジに、リタはこれが何週目なのか詰め寄る。実はケイジはこの場面も幾度と無く経験していたが、どうしてもリタを救えずにいたと白状する。リタは此処でも必ず死んでしまうのだ。

リタが死ぬのをこれ以上見たくないケイジはついにリタを救わないルートを選択し、単独でヘリに乗り込みドイツのダムへ向かう。しかしそこで待ち受けていたのはアルファだけでオメガはいなかった。そしてアルファの目的はケイジの血を回収することだと判明する。そのことをマッドサイエンティスト(名前忘れた)に話すと、彼が試作したオメガと直接リンクできる機械を使用するしか無いとの結論に達する。その場所はロンドンの将軍の場所であった。リタとケイジは将軍から何とかその機械を奪い、オメガの位置がパリのルーブル美術館であると特定するも、ケイジは負傷し輸血されパワーを失ってしまう。これで死ぬことが出来なくなったケイジは、それでもオメガを抹殺するためにリタと協力しJ小隊を説得、なんとか奪還作戦前にパリに突入する。しかし敵の勢力下のパリで待ち伏せをくらい、味方が全滅していく中なんとかオメガに辿り着いたリタとケイジは、リタの捨て身の自己犠牲によりチャンスを得る。そしてケイジはついに捨て身でオメガを爆殺することに成功する。するとオメガから謎の衝撃波が出てアルファ、ドローンは活動を停止していった。オメガの死体から流れ出る汁(ナノマシン)がケイジの死体を包み込む。次の瞬間、ケイジはロンドン上空のヘリの中で目を覚ます。一番最初に将軍に会う前の段階へ再びループしたのである。そして将軍からパリの謎の爆発で敵が沈黙しだしたことを伝えられる。作戦は行われなくなった、と。ケイジは空港ヘ向かい、リタへ会いに行く。そして彼女をジロジロ眺めてニヤニヤするのであった。(劇終)





いやー原作読んだ直後でモヤモヤしたまま見たので、度肝ぬかれ過ぎてある意味良かったかもしれないです。ここまでダイナミックに変えてくるのは流石ハリウッド脚本術だと痛感しました。

まずタイトルが『ALL YOU NEED IS KILL』ではなく『EDGE OF TOMORROW』。映画の場合、このタイトルはかなり意味を成します。いつも思うんですがなんで日本ローカライズは意味のないタイトルの改変するんですかね。まあ今回は原作重視感出したいんでしょうけど、なんかいつも腑に落ちませんね、日本の配給タイトル。毎回タイトル変えた意味を説明してもらいたいところです。

次キャラクター!主人公はただのCage(トム・クルーズ)!苗字不明!原作だと最後に主人公(キリヤケイジ)はKiller Cageになってるので原作への愛を感じます。
一方リタはRitaで変更点無し、しかも二つ名も同じという。更にミドルネームが「ローズ」であるという謎の情報も劇中で明らかになります。しかもイギリス軍!!!!ジャケット前面に申し訳程度に紅いラインが書かれてます。しかし残念なことに1回目でいきなり死亡したりその後も何回も死亡するなど鬼神というほどではありません。ここは弱くすることでトム・クルーズを引き立てているとしか思えません。映画ケイジも別にリタを見習って強くなる、というか勝手にどんどん強くなってる感じがします。
ロリ整備兵のシャスタは男性マッドサイエンティストに変更されています。その他にもブラジル系日本移民なはずのフェレウ曹長はケンタッキー生まれ。いやそもそも純ジャパのはずのCageはニュージャージー・クランベリー生まれとなっていますetc…極めつけは原作では「ギタイ」と呼ばれていた敵は「ミミック」になっています…意味的には同じですが…(字幕では「ギタイ」になってます。エンドクレジット最後の翻訳・戸田奈津子に皆さん苦笑)

はっきり言って、宇宙人が来て地球侵略して雑魚主人公がループして強くなる、と名前関連以外は全くの別物です、この映画は。

・ギタイ!!

ミミックというドラクエのミミックを思い浮かべずにはいられない日本人的には「ギタイ」の翻訳で正解だと思いますが、皆さんおもいっきり「ミミック」って言ってるのがなんとも…形状も原作ではバーボンの樽並に太いけど人間より背の低い「溺死したカエル」という表現が取られていましたが、映画では完全に反重力機能を喪失した某マトリックスの「センティネル」です!!!体中から無数の触手が伸びてそれをもののけ姫の「タタリ神」的超高速這いでウニウニしながら人間をぶっさします。原作ではスピアを射出してますが映画では触手串刺しが大好きなようです。しかも顔がついてて相当アレな感じです。全体的に原作より明らかに強そうなのですが、主人公の5,56mm(というかストックレスSCAR)効きまくってます。このへんの描写が明らかにセンティネルっぽいのは流石にちょっとどうかと思いますが…

・ジャケット!!

肝心のタングステン製バトルアックスは出てこなく、リタが大きめのマチェット使ってるだけです。20mm機銃もパイルバンカーも燃料気化グレネードも装備してなく、NATO弾アサルトライフルに40mmグレネード、両肩にロケット砲と大口径ライフル?等々、もはやアーマードコア状態。にも関わらずアーマー自体はスカスカでパワードスーツというか『エイリアンズ』のパワーローダーとか『マトリックス』のAPUに近い感じがしなくもない…

・そもそもの場所とかそのへん
ロンドンです。原作では「チバシティー」に近い基地ということでしたがヒースロー空港に駐屯していてケイジはバイクでロンドン行ったりしてます。
日本がどうなってるのか一切不明です。無駄にジャケットの設定言語が日本語になったり少しだけ日本語が飛び交ったりパシフィック・リムにおける日本のような申し訳程度の日本です。

・敵に関する考察
原作でのギタイは、蟹座方面40後年先の宇宙より飛来したナノマシンの塊が8分割した内海に落ちた3つが海底で生物と融合してだんだん海岸線から侵食していく、という進化の過程をたどっています。一方映画のギタイは、宇宙より飛来、各地を侵食するなどしか描写されていません。宇宙どうこうは語られていないです。
種類も違っていて、原作では「サーバー」「バックアップ」といった感じですが映画は「アルファ」(青い)「オメガ」(蕾のような感じ)「ドローン」(普通のやつ)の3種類です。どこかで見たことある設定です。機能は原作も映画も大体同じです。

・コーヒー
原作ではリタはコーヒーミルをほぼ唯一の持ち物として描かれている。リタはケイジと親密になった後、一度だけ彼に天然のコーヒーを作る。しかし、直後の襲撃でケイジはリタを殺し、ケイジはカビが生えたその手付かずのコーヒーを飲む。これが原作のあまりにも悲しいラストである。
一方映画では、ヨーロッパの何処かの民家でケイジはリタにコーヒーを作る。なんと天然ものだ、と。そしてリタが砂糖3袋であることも知っていて、そこでリタは気付く、これが1回目でないことを。

・前支え
映画での衝撃的な(リタにとっての)初対面ではリタは前支えを行っていた。ZEN的アトモスフィアの中での前支えだ。原作では前支えをしているケイジをリタが眺めてるのが(リタにとっての)初対面だ。

・リタ
原作と映画の最大の違いはリタだろう。ケイジはどっちもブレず、根本的に強いので視聴者が心配する余地は全く無い。一方リタは相対的に不安定にみえるので、読者視聴者側としてはどうしてもリタが気になってしまう。僕は勿論原作のリタのほうが好きです。リタが泣くシーンとか梅干しのシーンとか非常にノスタルジックな感じがしてラノベ感ありますね。良いと思います。


All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

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・結末の違い
原作のウィークポイントであるケイジとリタの戦闘は映画版では無く、多くの仲間の犠牲とリタの感動的自己犠牲を借りてケイジがオメガにトドメを刺すというものになっています。映画版は上手にループ設定を活用して、オメガの残滓ナノマシンがケイジの死体に触れて更に1回分前の睡眠まで戻らせます。しかしこの分の”ループ”が繰り返されるのかどうなのかは描写されていません。ですがラストのトム・クルーズのニヤニヤはここ数年のニヤニヤの中でも最高のニヤニヤじゃないでしょうか。この結末の方がスッキリしますね。


総括

原作イラストで決定的に『ALL YOU NEED IS KILL』のイメージを作り上げた安倍吉俊は凄い。それでリタのイメージが完全に固定されてしまったので、映画版リタは受け入れ難かった…故に、映画が完全に別作品として楽しめることができました。(笑

例え原作が日本の小説でも、ハリウッドはやはりハリウッドだった…ってことっすね