K.T.C.C

映画とか洋ゲーの冒険記です。大体端書。

第88回アカデミー賞大本命『レヴェナント:蘇えりし者』 ネタバレ感想

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92点

 

まずはネタバレなし感想

 
個人的には今年ベスト映画です。
とにかくこれぞ大自然!!という感じの環境描写が雄大過ぎる映画でした。意外と人間ドラマも凝縮されて描かれてます。しかし、細かい説明は最小限なので、歴史の事前知識があると良いかも。
 
映像に関しては『バードマン』で鮮やかに示した超長回しのシーンが今回も健在です。どうやって撮影したの!?と言わんばかりの豪華な映像の連続。とにかく光には拘っているようです。
 
音楽は言わずもがなザ・坂本龍一。完全に坂本龍一です。映像と調和した音楽にはうっとりします。自然音なのか音楽の一部なのか、音が実に見事に融合しています。
 
ストーリーはシンプルながらも、意外と色々な物語が絡んできます。5〜6のストーリーが混ざってますね。これもバードマンで見かけた雰囲気です。
 
とにかく雪山登山をした事がある人には絶対見て欲しいです。あの感覚が完全に再現されています。詳しくはネタバレに
 
 
 

ここからネタバレ全開で妄想考察します!!長いです(多分)

 

 

 

 

 

 

 

観賞情報

オデオン・コベントガーデン2番シアター、17:15の回、6ポンド。(オフピーク割)

結局一度もチケットをもぎりの人に見せなかった。楽勝でタダ見出来るのでは

 

3列目中央で鑑賞。人の入りは20パーセントくらい。音の大きさは普通。DLP。

スクリーンはそこまで高くなかったので、150分の長尺だったが首は痛くならなかったし、むしろ音が少し弱かったので丁度良かったかもしれない。

 

 

 

いつも通り20分くらいの予告に飽き飽きしていると本編開始。

 

感想

ストーリーはシンプル。だが背後関係は結構複雑。説明は必要最低限というか足りてない。スピリチュアル系なのか超現実主義なのかその境界が曖昧。宮沢賢治はほとんど読んだことは無いが、宮沢賢治のような世界観なんじぇねえのかと感じた。

 

人は死にまくるし、肉は抉れるわ燃えるは切れるはで痛々しい表現が多い。またウマシェルターや魚引きちぎりなど、いい意味で自然をグロく有効活用しているのが特徴的。どっかのどアホ・イントゥ・ザ・ワイルド学生とは違いますね。

 

長いようでサッと終わる環境映像ともいえる。何だかんだ言って、『バードマン』のようなスピリチュアル系映画と言わざるを得ない。見どころは十分にあるのでかなりお腹いっぱいになる。

 

 

登場人物感

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ヒュー・グラス

アメリカ西部開拓時代の冒険野郎にして不屈の男。コグマを連れた殺気立っている母親グマと単独で遭遇しエサになりかけるも、瀕死状態でたった一発の銃弾とナイフによる動脈切断という荒業で熊を殺害する異常な戦闘能力を有する。その際、喉と背中に深刻な裂傷を負い、また全身を骨折するなど完全にボコボコにされるも、数日後には這って地を進み、草の根や魚を食って元気回復する。医術にも長け、喉の裂傷を治癒するため火薬を喉に塗りたくり着火、熱による殺菌と縫合を行った。手にした樹の枝を銃に見立ててスナイピングを行うほどの狩り狂い。

 

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ヒュー・グラスの奥さん (Grace Dove)

ポーニー族で幾多の呪文をヒュー・グラスに授け、その不屈の精神の原動力になる。村が襲撃にあい殺害された後も、しばしばヒュー・グラスの前に精神体となって出現する。浮遊しながら出てくることが多い。ララァ的なポジションっぽい。

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つかこのグレイス・ドーヴェさんめっちゃマブいっぽい

 

 

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ホーク(フォレスト・グッドラック)

レオ様の息子。勇敢でピュアなハンター。親父を助けようとすると戦闘能力の高いフィッツジェラルドに刺殺される。顔に火傷の痕がある。

 

 

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ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)

極悪非道のヒール。ヒゲ。髪の毛はシラミのせいで掻きむしり、頭皮むき出しのモヒカン状態。パイプを吸いまくるヘビースモーカー。

肉を料理して後輩に分け与えるなどアニキ気質だが、たまにヒステリックになる。

 

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アンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グリーソン)

隊長。かなりルールに厳しく、ヒュー・グラスの肩をかなり持っている。仲間意識が強いが、一度はヒュー・グラスを見捨てようとした。後のそれを悔いてか、死を覚悟してヒュー・グラスの復讐旅行に付き合い、フィッツジェラルドに頭を撃ち抜かれる。

 

ポワカ

フランス人に拉致されて、奴隷にされていたところをヒュー・グラスに救助される。

 

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エルク・ドッグ

アリカラ族の酋長。圧倒的なオーラを放つ強いインディアン。ポワカのお父さん。

この物語の精神的支柱のような存在感がある。

 

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クマ

かなりデカい子連れグリズリー。子供のクマがかなり可愛いので、この映画の数少ない萌ポイントだ。

 

 

インディアン部族の関係について

この映画に出てくる主要インディアンはポーニー族とアリカラ族ということになります。

 

 

まず、時代背景として、アメリカ人とアリカラ族の間で戦争がありました。1823年の事です。

Arikara War - Wikipedia, the free encyclopedia

 

 

レヴェナント 蘇えりし者 (ハヤカワ文庫NV)

レヴェナント 蘇えりし者 (ハヤカワ文庫NV)

 

 原作は必読か。

 

 

 

・ポーニー族

 

アメリカ中部,ネブラスカ州プラット川流域に居住していたアメリカインディアンの一民族。言語はホカ=スー語族のカド語系に属する。4つ以上のバンドに分れ,それぞれ村を構成していた。おもにトウモロコシやウリなどを栽培したが,17世紀なかば以降ウマを使ったバイソン猟が中心になった。*1

 

 

デカプリオことヒュー・グラスの回想で度々出てくる燃える村と妻はこのポーニー族のインディアンです。息子もポーニー族とアリカラ族のジジイに瞬時に判別されてました。

 

・アリカラ族

http://www.theprovince.com/cms/binary/11605461.jpg?size=620x400s

 

「アリカラ」は「鹿の角」の意味。「アリカリー族」、特に「リー族」と呼ばれる。彼ら自身の呼び名は「タニシュ」、または「サニシュ」で、どちらも「人間」という意味。ルイスとクラークは彼らの自称として、「スター・ラー・ヘ」の呼称を記録している。1823年ミズーリ川近くでアリカラ族の領地を侵犯した毛皮捕獲業者をアリカラ族が襲撃したことをきっかけとして、アメリカ陸軍のヘンリー・H・レヴェンワース大佐が率いる230人の兵士と750人のダコタ族との間に戦が起こった。ダコタ族などのスー族とアリカラ族は宿敵同士だった。*2

 

 犬の扱いにも慣れているようで、1家に40匹ほどの犬を飼っていたらしいです。本編でも、冒頭の襲撃シーンで犬が沢山出てきます。わんわんお!また後に西洋人が持ち込んだ天然痘により、3万いた人口が6千に減ったとのこと。そりゃフランス人だろうがアメリカ人だろうが憎むわ。

 

更に、当時のアメリカはフランス人による開拓も盛んに行われており、西部探検が競うように行われていました。

 

 

音楽

オリジナル・サウンドトラック盤「The Revenant(蘇えりし者)」

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  • 発売日: 2016/02/24
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雪が深々と積もり、辺りは一面の白銀の世界。太陽は靄で霞んでいて、粒子の細かい雪が頬を撫でる。風は吹いているのに、音が一切しない世界。聞こえるのは自分の呼吸の音だけ。木々は揺らいでいるのに、時間が止まってしまったかのような風景。

雪山登山をしたことがある人なら、誰もが一度は味わった事のある情景です。その雰囲気がこの映画では完全に再現されています。自分がまるでアメリカの大自然にいるかと錯覚するほど引き込まれます。

この情景の美しさを作り上げているのは、無駄なSE・BGMが一切無いと言うことに他ならないでしょう。この映画の音楽は坂本龍一らが担当しており、非常に重厚ながらも極めて自然な音楽が使われています。全てインスト曲です。どちらかというと東洋的な雰囲気の曲が多かったのが印象的です。